今話題のMFTって?歯医者さんが解説!|横浜市青葉区の歯科医院|あざみ野青葉デンタルクリニック

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今話題のMFTって?歯医者さんが解説!


今話題の「MFT」とは?
~口腔筋機能療法の基礎から臨床応用まで~



近年、歯科業界で注目を集めている「MFT(口腔筋機能療法)」をご存じでしょうか?


MFT(Myofunctional Therapy)とは、
口腔周囲の筋肉のバランスを整えるトレーニング療法
であり、
小児から成人、高齢者まで幅広い年齢層に応用できる画期的な治療法です。


特に近年は、小児の発育期における歯並びの改善や、
成人の矯正歯科治療との併用
さらに高齢者の口腔機能低下の予防としても、
臨床現場でその重要性が高まっています。


こちらでは、MFTの原点、メリット・デメリット、そして今後の展開について、
歯科医療の視点からわかりやすく解説していきます。




1. MFT(口腔筋機能療法)とは?



MFTとは、口唇(くちびる)、舌、頬、咀嚼筋などの
口腔周囲筋の機能訓練を行うことで、
口腔内の正しい機能と姿勢を回復・維持させる療法です。



私たちは、食べる・話す・呼吸するなど日常のあらゆる行動に
口の筋肉を使っていますが、近年ではライフスタイルの変化により、
舌の使い方や呼吸方法(口呼吸)などの誤った習慣が増えています。


こうした誤った機能習慣が継続すると、
歯並びの乱れや噛み合わせの不良、さらには
顔貌や全身の姿勢にも影響を与える可能性があります。


MFTは、それらの根本原因にアプローチする、
まさに「機能から治す」新しい歯科アプローチなのです。


 



2. MFTの歴史と原点 ~海外から日本へ~


MFTの原点はアメリカにあります。
1960年代に歯科衛生士であるキレン博士(Dr. Daniel Garliner)らが、
口腔筋機能の異常が歯列不正や発音障害に関連していると提唱し、
体系化されたプログラムとして発展していきました。


欧米ではすでに長年にわたり、
矯正歯科、小児歯科、耳鼻咽喉科、言語療法など
多職種連携のもとで、MFTが臨床応用されています。


日本では比較的遅れて導入されましたが、
2000年代以降、矯正歯科医や小児歯科医の間で注目され始め、
現在では日本口腔筋機能療法学会をはじめとした専門学会の活動を通じて、
全国の歯科医療機関で導入が進んでいます。







3. MFTが必要とされる理由
〜生活習慣と口腔機能〜



現代の子どもや成人には、以下のような生活習慣の変化が見られます。


  • やわらかい食べ物が多く、咀嚼力が低下

  • 姿勢の崩れによる舌位の低下

  • 口呼吸の増加

  • 舌癖(前方突出癖など)の増加


これらの要因により、舌の正しいポジション(スポット)に維持できず、
歯列や咬合の安定が損なわれることがあります。


MFTでは、舌を正しい位置に置くトレーニングや、
口唇・頬筋の筋力強化などを通じて、
歯科治療後の後戻り防止や、歯並びの自然な改善を目指します。






4. 小児・成人・高齢者別のMFTの活用



小児への応用:発育期の歯並びサポート



小児期は成長・発育の過程で、舌や口唇、
あごの機能が形成されていきます。
この時期にMFTを取り入れることで、


  • 舌癖の改善

  • 口呼吸から鼻呼吸への誘導

  • 発語障害の予防

  • 歯並びや顎の成長の正常化


が期待できます。


予防矯正と組み合わせることで、より自然な発育を促し、
将来的な本格矯正を回避できる可能性もあります。


予防矯正のための口腔筋機能療法→
予防矯正とは?記事はこちら→





成人への応用:矯正歯科治療との併用


成人においては、矯正治療中や矯正後の後戻り防止としてMFTが活用されます。とくに、


  • 舌で歯を押す癖

  • 口唇閉鎖不全

  • 食べ方や飲み込み方の誤習癖


などを修正することで、
矯正治療の安定性が高まり、再治療のリスクが減少します。





高齢者への応用:口腔機能の維持と誤嚥予防


近年、MFTは高齢者の口腔機能訓練にも応用されはじめています。
とくに注目されているのが、


  • 嚥下(飲み込み)機能の改善

  • 表情筋・舌筋の衰え防止

  • 誤嚥性肺炎の予防

  • 発音や会話の明瞭化


など、QOL(生活の質)を高める口腔機能維持のためのMFTです。
介護現場や在宅医療とも連携しながら、
MFTが果たす役割は今後さらに広がっていくと考えられます。








5. MFTの具体的なトレーニング内容



MFTは個々の患者さんの状態に合わせてプログラムが設計されますが、
一般的には以下のような基本トレーニングが行われます。


  • 舌の正しい位置(スポット)への定着訓練

  • 口唇の閉鎖力を高めるリップトレーニング

  • 頬筋の緊張緩和とバランス調整

  • 嚥下(飲み込み)の再学習

  • 発音・構音のトレーニング


家庭で毎日5〜10分のトレーニングを継続することが効果を高めるポイントです。
歯科医院では定期的なチェックとモチベーションサポートが行われます。




6. MFTのメリットとデメリット



メリット


  • 歯並びや噛み合わせの自然な改善

  • 矯正治療の安定性アップ

  • 口呼吸から鼻呼吸への改善

  • 発音・嚥下・咀嚼機能の向上

  • 表情筋や姿勢にも良い影響


デメリット


  • 即効性がない(効果を実感するには時間がかかる)

  • 自己管理が必要(家庭での継続的なトレーニングが不可欠)

  • トレーニングの指導に専門知識が必要(歯科スタッフの育成が重要)


MFTは万能ではなく、あくまでも「サポート的な療法」として、
歯科治療や矯正治療と併用することで、より高い効果が期待されます。




7. 今後の展開とMFTの可能性



今後、MFTはさらに多職種連携の中で活用される治療法として
発展していくと考えられます。


  • 言語聴覚士や理学療法士との連携

  • 保育園・学校現場での早期介入

  • オンラインによる家庭指導やサポートアプリの開発

  • 高齢者医療・介護分野への拡張


MFTは、単なる「歯の治療」ではなく、
ライフスタイルや生活習慣の見直しを通じた
“全身の健康を支える歯科医療”へと進化しています。








まとめ:MFTで口から整える、全身の健康



MFT(口腔筋機能療法)は、歯並びや噛み合わせといった
歯科領域にとどまらず、呼吸・発音・嚥下・姿勢・表情など、
全身の健康に密接に関係する療法です。


日本ではまだ新しい分野ではありますが、
今話題のMFTを積極的に取り入れている矯正歯科・小児歯科医院も増えています。



お子さんの歯並びが気になる方、
矯正後の後戻りを防ぎたい方、
口呼吸が気になる方、
高齢になっても元気に話して食べたい方
など、


さまざまなライフステージで役立つMFT。


横浜周辺にお住いの皆さま、ぜひ一度、まずはお近くの歯科医院でお問合せください。
専門の歯科スタッフが、あなたに合ったトレーニングプランをご提案いたします。


 



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医療法人社団AADC
あざみ野青葉デンタルクリニック
歯科医師
理事長  鈴木 拓也

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